このたび、手持ちのほとんどの書籍を電子化(自炊)しました!書籍のまま手元に残したのは一眼レフのマニュアル本くらい。

今回は、代行業者を利用せず自炊を選んだ理由や、私が利用した裁断機・スキャナーのレンタル業者、裁断ノウハウについてご紹介します(記事で言及している価格やプランは私が自炊した2018年10月現在のものです)。

手持ちの書籍を電子化すれば、これだけ部屋がすっきりします!

これが今回自炊した本すべて(230冊)
指紋ベタベタですが、反射防止のフィルムを貼っています。

この8インチタブレットに230冊が入っていると思うと、すごいですよね(私の部屋の本棚3段分が空きました)。

自炊の一番のきっかけは、必要に迫られたこと

私はかねてから、2019年からの海外移住を公言しています。この記事を執筆しているのは2018年10月、日本での残り期間が少しずつ減っている状況です。将来的にどうなるかはわからないものの、今現在の予定では完全に移り住む予定なので、いわゆる「断捨離」に時間を費やす日々。

その中でも処理の仕方に頭を悩ませていたのが、200冊以上ある本でした。会社員時代に勤務先から配られた資格試験対策本や学生時代の教科書、スポーツ誌や漫画など、ジャンルも多岐にわたります。海外に持って行きたい本も多かったので、思い切って自炊しました。

代行を選ばなかったんじゃなく、選べなかった

自炊には大きく分けて3つの方法があります。

  1. 裁断:業者に委託、スキャン:自分で行う
  2. 裁断:自分で行う、スキャン:自分で行う
  3. 裁断:業者に委託、スキャン:業者に委託

今回私が選んだのは「3. 裁断:自分で行う、スキャン:自分で行う」でした。

最初は「自炊する時間がもったいないから業者に代行してもらおう」と思っていましたが、最終的に自分でやることに。その理由は、手持ちの漫画の2/3が電子書籍化反対の作者だったから。

著作権法では、私的利用を目的とした著作物の複製は禁止されていません(著作権法30条1項・私的複製)。しかし、代行業者に依頼しての自炊は私的複製の範囲を超えているので違法という判決が出ています(恐らく判例はこれです。最高裁は自炊代行業者の上告を受理しませんでした)。

電子書籍化されているタイトルの紙本の電子化は業者委託でも問題ありませんが、電子書籍化反対の作者の本を代行業者が自炊するのは無許可とみなされます。こうした理由で、代行業者を介さずに「私的利用を目的とした複製」という形で自炊しました。

この記事を執筆している2018年10月時点、手持ちの漫画89/134冊の作者が電子書籍化に反対。作者買いをするのが今回は完全に裏目に出ました…。泣

スキャレンで裁断機とスキャナーをレンタル

断捨離目的で自炊をするので、裁断機やスキャナーを購入するのは言語道断。そこで、今回はスキャレンで裁断機とスキャナーをレンタルしました。

さまざまなプランのうち、私が選んだのは大型自炊セット7です。このプランでは、裁断厚37mmの大型裁断機とスキャナーを7日間レンタル(8泊9日)できます。

スキャレンで大型自炊セット7を利用した理由は、次の3つ。

  • 実質9日間レンタル可能
  • 裁断厚37mmの裁断機はスキャレンだけ
  • 競合他社では希望日程でレンタルできなかった

日程の問題はタイミングとしか言いようがないので、上の2つについて解説します。

実質9日間レンタル可能!

このプランのメリットは、「7日間」レンタルに裁断機とスキャナーの到着日・返却日が含まれないこと。たとえば10/1に裁断機とスキャナーが届くと、7日間レンタルの1日目は10/2。レンタル7日目は10/8で、返却(=裁断機とスキャナーの集荷)は10/9です。

スキャレンの競合で私も最後まで迷ったDMMいろいろレンタル(2023年7月追記:2023年6月末にサービス終了)は、1日目は到着日から始まり、返却期限は最終日の17:00です。こちらも10/1からレンタルすると、10/7の17:00までに裁断機・スキャナーを返却しなくてはいけません。

スキャレンには1ヶ月裁断機とスキャナーをレンタルできる大型自炊セット30(31泊32日)というプランもあります。こちらはなんと10,480円。レンタル期間は3週間も違うのに、1週間レンタルとの差額はわずか1,500円です。大量に自炊したい本があるのに時間がない方は、長期プランを候補に入れるのもありです。

裁断厚37mmの裁断機はスキャレンだけ

私がスキャレンに決めた理由で大きかったのは、37mmの裁断厚。裁断厚とは、簡単に言えば1回で裁断できる厚みを示すもの。つまり裁断厚が大きければ大きいほど、分厚い本も分解せずに裁断できます。

「37mmの裁断厚」はかなり大きくて、レンタルできるのはスキャレンだけ。英単語や英文法の本、漫画の完全版は分厚いので、他社の裁断機では細かく分解する必要がありました。

手持ちの本で一番分厚かったのは約3cmでしたが、それも1回で裁断できたのが大きなメリットです(※「本が分厚すぎると裁断面が斜めになる」という口コミを見たので、分厚めの本は分割しました)。

裁断厚の大きい裁断機を使えば本を分割する手間が省けるので、それだけ作業が楽になります。大型裁断機のデメリットは重さです。裁断機だけで約17kgあり、取り扱いや運搬には注意が必要です。

ちなみにスキャナーは富士通のScanSnap iX500。これはスキャレンとDMMいろいろレンタル共通でした。「他を貸し出している業者を見たことない」というくらい、どのレンタル業者を見てもスキャナーはScanSnap iX500 ばかり(裁断不要のスキャナーは除く)。最近富士通から新モデルのスキャナーが発表されたので、近いうちにレンタル品も最新モデルになるかもしれません。

スキャレンにもデメリットはある

ここまでは、スキャレンのメリットまたはDMMいろいろレンタルのデメリットを書いてきました。しかし、スキャレンもメリットだけではありません。

スキャレンでは、予約時点で希望日にレンタルできるかわかりません。DMMいろいろレンタルでは、予約前にカレンダーでレンタル可能な日程を確認できます。

ちょうど予約不可の期間と、私のレンタル期間が重複しています。

それに対し、スキャレンは予約時点で希望日にレンタルできるかわかりません。申し込んだ後に届くメールでレンタルの可否がわかります。

ちなみに、私のときは申し込みから予約可能メールが届くまで約1時間でした。私が申し込んだのは日曜日だったので、平日はもっと返信が早いかもしれません。

実際に自炊してみた

実際の自炊方法や苦労話は次の記事に書くとして、私は230冊を6日で自炊。ここでの「自炊」には以下の内容全般を指します。下の記事に詳しく書きましたが、本によってはレタッチ作業も発生しました。

  • 裁断
  • スキャン
  • 回転・前後したページの修正

スキャレンから届いた段ボールの写真を撮り忘れましたが、かなり大きいサイズで届きます(同封されていた返送用の送り状に記された集荷サイズは140)。開封時点でこんな感じです。

到着時と同じように梱包するための手順書が同封されているので、返却時の心配は不要です(右の段ボールには、コード類やお手入れキット、ホチキスの芯外しなどがあります)。

裁断機はこんな感じ。A4まで裁断可能で、かなり大きいです。

スキャナー単体の写真は撮り忘れましたが、こんな感じで使います。ちなみにスキャナーの後方に写っている繭玉は、コード類の段ボールに入っていた緩衝材です(この写真で使用中のシートは次回の記事で紹介します)。

ここからは6日間の自炊量を、日ごとにご紹介します。ちなみに初日と3日目以外、仕事は業務連絡のみで自炊に集中しました。

レンタル初日の自炊量。雑誌を中心に自炊しました。
2日目。地球の歩き方や文庫本も自炊しつつ、漫画の自炊も開始。
3日目だけはどうしても原稿作業をしないといけなかったので、自炊量は少なめ。
4日目に自炊したのは好きな作品ばかり。「確認」と称して読んだので、所要時間の割に作業は進まず…。
5日目は分厚くて1回で裁断できない漫画の裁断。『AKIRA』の側面の色が反映されないのが悲しい…。
IELTS単語帳は付箋を外すのに手間取って、そのほかの3冊はA4以上でスキャナーに入らず
「A3キャリアシート」が必要でした。

きれいにスキャンできたかの確認で、自炊中はついつい作業が止まりがちになります。結果的に6日/7日間レンタルで作業を終えたのでよかったものの、時間に余裕がないとかなり大変です。上下逆にスキャンされるページも少なくないので、ページ確認はした方がいいでしょう。

タブレットは最新のFire HD 8(第8世代)

タブレットは2018年10月4日に発売されたばかりのAmazon Fire HD 8(32GB)。8インチタブレットが10,980円と思うと、かなりお得です。

Fire HDは8インチのほかに、7インチと10インチが発売されています。持ち運びの利便性と大きな画面の両方を譲れず、折衷案的に8インチを購入しました。ちなみに、同じくAmazonから発売されている電子書籍専用端末「Paper White」を購入しなかった理由はただ一つ、カラー表示できないから

Fire HDの容量は7インチで8GBと16GB、8インチで16GBと32GB、10インチで32GBと64GBから選択可能。8インチの32GBを私は購入しましたが、128GBのSDカードを入れて拡張しています。

128GBもいらないと思いつつ、今後雑誌や漫画などを購入すると思うので念のため。128GBのSDカードを安く買おうとすると、ニセモノや不良品を掴まされる懸念もありました。しかし、「Amazonで販売・発送なら安全かな」と判断し、TranscendのSDカードを購入。今のところ、まったく問題なく使用できています。

ちなみにケースはこちらを購入。

Amazon段ボールデザイン!普通のシンプルなものにするつもりでAmazonを物色していたところ、一目惚れして購入。「OPEN」のところを折れば自立させられます。親に見せたところ、「矢印から破りたくなる」と言われました。笑

結論:書籍を自炊するといいことづくめ!

最後に自炊してみた感想を。

トータル60.9kg。笑

自炊はひたすら単純作業で、手間も時間もかかりました。しかし、かかった手間以上に本があったスペースを有効活用できる嬉しさが大きいです。漫画や小説、仕事の資料本などたくさんの本を持っている方なら、喜びはこの比ではないはず…。

部屋が広くなるのもメリットですが、最大のメリットは何百冊の本を8インチ端末ひとつにまとめられること。荷物にタブレット端末一つ増やすだけで、漫画や小説の続きもすぐに読めます。「こんなに待ち時間があるなら他の本も持ってくればよかった」と思うこともありません。

明日更新の記事で、詳しい裁断の様子をお届けします。

それでは!

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